事例No.035改正建築物省エネ法について
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2021年4月から施行された改正建築物省エネ法について、まとめてみたいと思います。
先ずは、この改正のため、「外皮性能の向上」と「一次エネルギー消費量の削減」が一層求められる事になります。
建築物省エネ法は、義務制度の規制措置と任意制度の制度措置というものがあります。
今回は特に規制措置が大きく変更されたようです。
非住宅では中規模建築物にも適合義務が適用される事になり、住宅では規模が小さくても設計者から建て主への説明義務が求められる事になりました。
ここでは、住宅の小規模(300㎡未満)についてご説明します。
これまでは、努力義務であった【省エネ性能向上】がこれに加えて、【設計者から建て主への説明義務】が必要となりました。
それでは、説明義務の流れを見てみましょう。
●省エネ性能についての説明を希望する意思を建て主へ確認
↓
●建て主から説明の要望があれば、設計者は書面で提示・説明行う
↓
●説明書面は保存し工事着工となる
さらに、その説明書面についてご説明します。
書面の内容は、省エネ基準への適合状況が示されており、その内容は「外皮性能の向上」の断熱性能と自然から採取された「一次エネルギー消費量の削減」となります。
いずれも省エネ性能評価方法には何通りかあり、建物の用途や目的に応じて選択が必要となります。
その内容について、簡単に下記に記載しておきますので、興味のある方はご覧になってください。
①標準計算ルート:面積や長さなどの具体的な数値を入力し、外皮性能も含めて計算する評価方法。作業量は多いが、最も精緻な結果が得られる。
②簡易計算ルート:外皮面積を計算せず、電卓を用いて性能値だけを算出する方法。木造戸建て住宅のみ使用可能で、作業量は中程度。
③モデル住宅法:簡易計算シートを用いることで、手計算で算出可能。木造、鉄骨造、RC造に対応可能。
④仕様ルート:仕様のみで適否を判断する方法。計算せずに評価可能なため最も作業量は少ないが、設備仕様の適用範囲が狭く、使用するのは非現実的。
上記の4つのうち、③モデル住宅法が2021年4月から導入されていて、①と②に比べて比較的簡易ですが、建て主への説明に十分な制度を確保しています。
しかし、モデル住宅法の注意点として、建て主への説明書面には数字しか提示されないため、年間の冷暖房費が幾ら削減出来るかなど、一目で判断出来る書面作成も必要かもしれません。
これまで説明してきた、断熱性能とエネルギー消費量削減以外にも、「換気」「生活音」や近年では「雨水処理」「災害対策」なども必要となりそうですね。