事例No.034敷地と建物の関係を考える
デザイン
少し近所を歩くだけでも、様々な敷地のかたちがあり、上手に設計された家を見かけることがあります。
いろいろな形の敷地と建築基準法などの規制から、ひとつとして同じ家が無いのではないかと思います。
そこで、ここでは敷地と建物の関係について考えてみます。
まず敷地の形として思い浮かぶものを書き出してみると。
●正方形
●長方形
●三角形
●台形
●旗竿地
●かぎ型
●高低差
などなど
その他に敷地と道路との関係性、方位、そして周囲の環境も大きく設計に作用します。
次にそれぞれの敷地の特性と設計時に注意する点を書き出してみます。
●正方形
比較的設計がしやすく、方位・接道方向と各部屋の関係性を整理するとある程度配置は決まることが多いです。
●長方形
この形の場合は、方位が大切であると考えています。東西南北のどの方向に向かって長いのか、場合によっては中庭や吹き抜け空間を設けて、太陽の光をうまく取り込みます。
●三角形
敷地の鋭角部をどのように利用するのかが重要です。庭の一部か、跳ね出したバルコニーにするか屋内に取り込んで、非日常空間を演出するのか、周囲の環境も考えて最大限活用できる空間にしたいですね。
●台形
矩形と三角形の中間のようなこの形状は、いろいろな設計が可能だと思います。道路と平行に建物を配置するか、南北方向に平行にするか、あえて周囲の建物の向きと変えることで、採光に有効な空間がうまれたりします。
●旗竿地
道路からのアプローチ方向が決まるため、2・3階であれば玄関から上階への移動をどのようにするのかが大切です。階段を建物の奥に配置すると動線が長くなりますし、吹抜として意味のある階段の場所をどこにするのかで、下階の明るさも変わってきます。
●かぎ型
敷地に凸凹のある場合、その折れている場所により考える必要があります。南向きに折れているのであれば、積極的に開口を設けて光を取り込みますし、西向きでは夕方の西日に注意する必要があります。
●高低差
高低差の程度にもよりますが、大きな場合は2階に玄関を設けたり、1階にビルトインガレージを配置することで有効に活用します。小さな場合は、屋内に階段を設けてスキップフロアにするか、大きめの床下収納や小屋裏・ロフトスペースなんていうのも良いかもしれませんね。
ひとつ具体的な話として、私の自宅兼事務所についてお話しさせていただきます。
敷地は、東西に長い敷地で尚且つ一部折れている形をしています。
1階がどうしても暗くなってしまうため、中庭を設けられないか考えてみましたが、難しかったので2階にLDKを配置した間取りにしました。
玄関から生活の中心であるリビングまでの動線は長くなりましたが、明るさを確保できる空間になりました。
もう一つ、敷地の折れている場所は東側に向いていたため、積極的に窓を配置して朝日を取り込む設計としました。
季節によっては朝日が眩しかったため、現在はガラスにシートを貼って緩和しています。
家を一から考える時だけではなく、リフォームを行う時も、家の方位・窓の向き・近隣の状況とお客様の生活スタイルを総合的に考えご提案させていただきます。