これまでの地震と建築基準法改正について

2020/05/08 建築の事

日本は地震が多い国ですが、最近さらに多いような印象を受けます。

 

先日も夜中に緊急地震速報があり、驚かされました。

 

ここでは、今までの地震と建物の耐震性能、建築基準法の関係についてまとめてみたいと思います。

 

 

地震建築基準法改正耐震診断・補強方法の変遷】

 

1920年 市街地建築物法施行 日本ではじめての建築法規 建築基準法の原型となった。

 

1923年 関東大震災(M7.9) 死者10万5千人 今から約100年前の大災害

 

1924年 市街地建築物法の大改正 耐震規定が盛り込まれ、木造住宅には「筋交いなどの耐震規定」が新設された。耐震について規定されたが、まだまだ不十分な内容であった。

 

1927年 北丹後地震(M7.3)

 

1933年 昭和三陸地震(M8.1)

 

1943年 鳥取地震(M7.2)

 

1944年 東南海地震(M7.9)

 

1945年 三河地震(M6.8)

 

1946年 南海地震(M8.0)

 

1948年 福井地震(M7.1)

 

1950年 建築基準法制定 木造住宅には「床面積に応じて必要な筋交い等を入れる壁量計算」と「床面積あたりの必要壁長さや、軸組の種類・倍率」が定められた。市街地建築物法の大改正から四半世紀の間にも強い地震が多く発生している。

 

1959年 建築基準法改正 木造住宅の壁量規定強化 床面積あたりの必要壁量長さや軸組の種類・倍率が改定された。

 

1964年 新潟地震(M7.5)

 

1968年 十勝沖地震(M7.9)

 

1971年 建築基準法改正 木造住宅の基礎はコンクリート造または鉄筋コンクリート造の布基礎とが定められた。

 

1978年 宮城県沖地震(M7.4)

 

1979年 木造住宅の耐震診断と補強方法のパフレットを作成し普及活動を開始した。

 

旧耐震基準

 

1981年 建築基準法大改正 耐震設計の内容が抜本的に見直され耐震設計基準が大幅改正した。現在の新耐震設計基準が誕生した。この新耐震設計基準による建物は、阪神淡路大震災においても被害は少なかった。これを境に「旧耐震」「新耐震」という表現がされるようになった。

 

新耐震基準

 

1983年 日本海中部地震(M7.7)

 

1985年 木造住宅の耐震診断と補強方法 日本海中部地震の被害を考慮し改訂

 

1995年 阪神淡路大震災(M7.3) 死者6千4百人 私は当時、学生であったがテレビで見た高速道路が横倒しになっている映像に強いショックを受けたのを覚えている。

 

2000年 建築基準法改正 地耐力に応じて基礎形状を選定、地盤調査が事実上義務化となる。木造住宅の接手・仕口・柱頭柱脚接合部に金物必須。耐力壁配置のバランス計算が必要となった。

 

2001年 品確法住宅性能表示制度 構造において耐震等級が盛り込まれた。

 

2004年 木造住宅の耐震診断と補強方法の大改訂 阪神淡路大震災・2000年の建築基準法改正・2001年の品確法を反映させた。

 

2004年 新潟中越地震(M6.8)

 

2005年 福岡西方沖地震(M7.0)

 

2007年 能登半島地震(M6.8)・新潟県中越沖地震(M6.8)

 

2008年 岩手・宮城内陸地震(M7.2)

 

2011年 東北地方太平洋沖地震(M9.0) 死者行方不明者1万9千人 私は東京で震度5の強い揺れを体感した。街が津波にのみこまれる映像や原子力発電所事故は忘れることはないほどの強い衝撃を受けた。

 

2012年 木造住宅の耐震診断と補強方法の改訂 現在の最新版

 

2014年 長野県神城断層地震(M6.7)

 

2016年 熊本地震 前震(M6.5) 本震(7.3)

 

2018年 大阪府北部地震(M6.1)・北海道胆振東部地震(M6.7)

 

 

これまで様々な災害を受けて、その都度改正してきた経緯があります。

 

今後発生が予想されている首都直下型地震に対しても、安全対策などを立てる必要性があると考えます。